素人の素人による素人のためのフラッシュライトBlog

万里の長城と呼ばれていた

それは「日本の万里の長城」と呼ばれていました

東日本大震災の映像で目にした人も多いでしょう
岩手県宮古市田老地区に建設されていた総延長2.5km、高さ10mの巨大防潮堤です

リアス式海岸の奥まった場所に位置し、明治29年の明治三陸津波や昭和8年の
三陸沖地震など度重なる津波の襲来により壊滅的な被害を受けてきた
田老地区では45年の歳月を費やし、町の海岸線を覆う世界に類を見ない
長大な防潮堤を完成させました

安心した住民は1960年代から防潮堤の内陸側に次々と
住居を建設してきました
平成15年には「津波防災の町宣言」をし、これにより住民たちは未来永劫
津波の恐怖から解放された...はずでした...

3.11の結果は今更言うまでもないでしょう
そもそも防潮堤の構造を客観的に見てみれば、これが如何に危険なものであるかが
端的に理解できるはずです

下の写真は震災後の田老地区の上空写真です

Taro1.jpg


そして少し解説のために手を加えた写真が以下

Taro2.jpg

方角は上が北、右下が海になり、赤線で示すのが巨大防潮堤です
緑色の面が住宅街だったところ、その北西が高台です

巨大な防潮堤は2重構造になっていました
初めは一重でしたが防潮堤よりも海側に居住する人が出始めたことで
海側の防潮堤が後に増設されたものです
しかし間隔を開けて配置されているならばまだしも、住宅街の目と鼻の先で
X(エックス)型に交差しており、これでは一重と大差ありません
襲来した津波は外側防潮堤の奥まった一か所にエネルギーが集中し
万が一決壊すれば2重である利点は失われ即住宅街に津波が集中する
構造的欠陥を孕んでいた訳です

今回の津波では海側の防潮堤は一瞬にして500mが崩壊、地区人口4434人中
200名近い死者・行方不明者をだす結果になりました

Taro 7
                      津波により壊滅した住宅街

居住区画は高台へ最短で避難するため放射線状に配置されていますが
皮肉にも決壊した津波はこの放射線状に整備された道路に沿って
逃げ遅れた住民を「最短で」飲み込んでいったのです
(NHKの3.11考証番組で放送されていた)

何故このような構造が受け入れられ「津波防災の町宣言」まで
させてしまったのでしょうか?

巨大な防潮堤の存在と防災の町宣言がかえって住民の危機意識を
低下させてしまったのではないか?と言う事や、巨大な防潮堤により
決壊するまで津波の襲来が認識出来なかったのでは等様々なことが
言われています

もちろん今となっては結果論で何とでも言えます
後出しジャンケンのように卑怯な言い草かも知れません

しかし今冷静な視点で見れば構造的欠陥があったのは明らか
建設の目的が真に住民の生命の保全ではなく「公共事業」であった
可能性も大いにあります
構造力学の専門家から見れば絶対に「Go」をだすとは思えない、
素人の小生の立場でも首を傾げてしまうような構造物が
3.11以前はまかり通っていたのは非常に残念に思います

既存の常識にとらわれず、聖域をつくらず白紙の状態で物事を判断していれば
結果は違っていたかも知れません

安全保障にはリアリズムを持ち込むことこそが最も重要なのです

(この記事の写真はGoogle Earthより転用しています)


〔追記〕 2013.1.26

東日本大震災で襲来した津波は「想定外」の規模であったという見解が
されることがありますが、小生は3.11以前からまったくそのようには
考えてはおりませんでした
小生がまだ学生だった1993年7月12日に北海道南西沖地震が発生し
津波の最大波高16.8m、最大遡上高30.6mを記録しています
子供ながらに巨大津波の恐ろしさを知り戦慄した記憶があります

3.11の津波の波高は14~18m、最大遡上高は40.1mでした
奥尻島の津波よりも大きな規模の津波ですが、決して想定外ではないでしょう

多くの日本人が過去から学ぶことを怠っていた訳です


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2013-01-26 : 防災 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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